消費税の総額表示(税込み価格の表示)が2021年4月1日から必要になります!
こんにちは。
この4月からの変化のなかで皆さんに最も身近な話題といえば、消費税の総額表示でしょうか。
普段の生活ではあまり意識することはありませんが、消費税込みの総額表示の義務化は2021年3月31日まで「猶予」されている状態でした。
この猶予期間が終了するため、4月1日から総額表示が義務化されます。
少し経緯を説明すると、平成25年(2013年)6月に、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(いわゆる「消費税転嫁対策特別措置法」)で、総額表示義務の特例として猶予期間が定められました。
特例の内容を簡単にみてみると、「表示価格が、税込み価格と誤認されない措置をとっていれば、税込価格(=総額)を表示しなくてもよい」とされています。
「1,000円+税」や、「1,000円(税抜き)」のような、おなじみの表示ですね。
繰り返しになりますが、この猶予期間が2021年3月31日で終了し、4月1日からは総額表示(税込価格の表示)が求められます。
それでは、具体的に総額表示に関して、国の情報を参考にしながら順を追って見ていきましょう。
まず、「総額表示」の目的は「消費者の利便性」です。
税抜価格のみの表示ではレジで請求されるまで最終的にいくら支払えばいいのか分りにくいですし、同じ商品・サービスでも「税抜表示」のお店と「税込表示」のお店では、価格(最終的に支払う金額)の比較がしづらいですよね。
これを踏まえ、「消費税額を含む価格」を一目で分かるよう にするということが、総額表示の目的です。
次に、総額表示の対象は「消費者に対して行う価格表示」です。
そのため、BtoBの取引には総額表示は必ずしも求められていません。
消費者に対して行う価格表示が対象ですので、店頭の値札やチラシ・カタログ・広告など、どのような媒体でも対象となります。
その表示は「税込み価格を明瞭に表示する」必要があります。この要件を満たしていれば税抜価格をあわせて表示することも可能です。
例えば、次のような方法です。
・11,000円
・11,000円(税抜価格10,000円)
・11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
「税込み価格を明瞭に表示する」という要件のうち、「明瞭に」の部分がポイントになります。
何が「明瞭」かを理解するために、反対の「明瞭でない方法」を3つ紹介します。
「明瞭でない表示方法」として、国税庁からは次の3つの方法が示されています。
税込・税抜価格を両方表示して、
①税込価格を極端に小さいフォントで記載する
②税込価格の文字幅を小さくして見えにくくする
③税込価格を背景色で分かりにくくする
の3とおりです。
総額表示の目的に照らすと、このような表示は消費者の利便性を損なうものと言えます。
ただし、店舗運営の工夫として、税込み価格を「少し小さいフォント」で表示する分には問題ありません。
ポイントは、税込み価格を容易に認識できるかどうか、ですね。
お店の経営者の立場から考えると、4月1日に一斉に総額表示に切り替える作業負荷はとても大きなものだと思います。
現時点では、総額表示を行わない(または、すぐには行えない)ことに対する罰則は規定されていないようです。
では、総額表示を行わない場合はどうなるのか。
「総額表示義務の特例」に関しては「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第5条(不当表示)」の適用・適用除外について言及されていますので、おそらく景品表示法の違反として取り扱われると思います。
その場合、「指導」がなされたり、誤認の排除・再発防止策の実施・今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずる「措置命令」が出されます。また要件によっては「課徴金の納付」が命じられることもあります。
今後、総額表示によって消費者の購買意欲は減退するかもしれませんが、相対的には競合相手と同じ条件になりますので、表示価格によって有利不利の差は小さくなります。
総額表示の目的に立ち返って、「消費者の利便性」のために積極的に取り組んではどうでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。